Concept

コンセプト

美しい自然

大自然は我々人間に恵や豊かさを与え、時には脅威や災害をもたらします。日本人はその大自然を素直に受け入れ、対抗することなく共存、共生してきました。その自然感は住まいの空間にも反映され、内外の曖昧さを武器に四季のうつろいを楽しみ、野山を借景に取入れ、少しの自然も見逃すことなく生活に取入れてきたのです。まさに自然の厳しさを逆手にとって楽しみ、文化技術にまで造りあげた日本人の感性はすばらしいものがあります。

幸せの原点

ある長老に、長生きの秘訣を尋ねると、「家より半径1kmの田畑で採れる作物を食べること」と答えたという。住まいにも同じことがいえそうです。身近で産する自然素材を最小限に手を加え、素材の持つ特質を生かし、気候風土をふまえた住まいづくりこそが長持ちの秘訣なのです。ここ四国にも、木、紙、土等、たくさんの優れた建築素材が産出されています。経済効率ばかり優先させ、地元の優れた素材をおろそかにしてきたのが今の現状です。これからは、自然素材を見直し、地に足のついた健康で長持ちのする家づくりを考えていく時代なのです。

空間に宿る力

春のおとずれをつげる桜の開花。花見の宴会は、代表的な日本の風物詩、桜の木の下に思い思いのグループが花見弁当にお酒をくみ交すそのにぎわいは圧巻です。欧米人には大イベントに映るようです。このくつろぎとにぎわいは、座空間にあるのです。目線が下がり、落ち着きと安心感があり、少し疲れると膝をくずしたり、横になったりと自由度のあるフレキシブルスタイルなのです。室内空間では、目線が安定し、窓・家具・棚等の高さも視線を合わせて配慮することにより、重心が備わり、居心地の良い座空間となるのです。

小さきは偉大である

かつて日本家屋を「うさぎ小屋」と形容した欧米人。戦後の日本は、欧米並の広さ大きさを目標に突き進んできた。しかしここにきて広さ、大きさだけが豊かさの基準ではないことに気付きはじめています。日本の先人たちはその土地の環境、気候風土の中で、必要最小限の空間に豊かさを追求し完成させてきたのです。そこには沢山のヒントが隠されています。これからの住まいは近代の優れた建築技術、性能を要所に生かし、シンプルで簡素で小さくてもそこに豊かさの内包された住まいが基本であると考えます。

大切なのは食べること

豊かになった日本、主食である米は世界各地より食糧消費の八割を輸入に頼っています。外食産業も盛んで、家族全員で食卓を囲む姿も少なくなってきています。しかし、今一度家族での食事の大切さを考え直してみたいと思います。家族一人一人の健康や、伸び盛りの子供の栄養バランスや食材選び、台所をまかされる主婦は、最も頭を悩ませるところです。まさに食卓は、家族の愛情がつまった成長と教育の場なのです。食べる事の本当の楽しみ、豊かさを家族で共存することの意味を問い直してみませんか。